繰り返し、治りにくい口内炎ができ、そのたびに、原因不明の発熱を伴う。このような症状が、長期間にわたって続いている場合、それは、単なる局所的な炎症ではなく、免疫システムの異常が関わる、全身性の病気の一症状である可能性を、考える必要があります。発熱と、再発性の口内炎を特徴とする、代表的な全身性疾患が、「ベーチェット病」です。ベーチェット病は、原因不明の、慢性的な炎症が、全身の様々な臓器に起こる、自己免疫疾患の一種と考えられています。その診断基準に含まれる、4つの主症状の一つが、「再発性アフタ性口内炎」です。頬の粘膜や舌、唇などに、痛みを伴う、境界明瞭な口内炎が、年に何度も、繰り返し出現します。そして、これに加えて、「皮膚症状」(にきびのような発疹や、皮膚のしこり)、「眼症状」(ぶどう膜炎などによる、目の痛みや視力低下)、そして「外陰部潰瘍」の、いずれかが見られる場合に、ベーチェט病と診断されます。発熱や、関節痛、倦怠感といった、全身症状を伴うことも、少なくありません。この病気が疑われる場合、受診すべき専門診療科は、「リウマチ・膠原病内科」です。また、皮膚症状が強ければ「皮膚科」、眼症状が強ければ「眼科」など、症状に応じて、複数の科が連携して治療にあたります。その他にも、同じく自己免疫疾患である「全身性エリテマトーデス(SLE)」や、消化管に慢性的な炎症が起こる「クローン病」などでも、発熱と共に、治りにくい口内炎が見られることがあります。また、非常に稀ではありますが、「白血病」などの血液の病気では、免疫力が著しく低下するため、重度の口内炎と、感染による発熱が、初期症状として現れることもあります。これらの全身性の病気は、早期に診断し、ステロイドや免疫抑制薬といった、専門的な治療を開始することが、病気の進行を抑え、重篤な合併症を防ぐ上で、極めて重要となります。たかが口内炎と侮らず、発熱を伴い、何度も繰り返す場合は、一度、総合的な視点から診てくれる、内科や、リウマチ科への相談を、検討してください。
ベーチェット病など、全身の病気が隠れている可能性