火傷が治った後、多くの人が気にするのが、その「傷跡(瘢痕)」です。特に、顔や手足などの、目立つ場所にできた傷跡は、長期にわたる、精神的な苦痛の原因ともなり得ます。火傷の傷跡を、いかにして、目立たなくするか。その鍵は、受傷直後の「初期治療」と、その後の、根気強い「アフターケア」にあります。傷跡を、最小限に抑えるための、最も重要な原則は、「早く、きれいに、治す」ことです。傷の治癒期間が、長引けば長引くほど、傷跡は、目立ちやすくなります。そのために、医療機関では、傷を、乾燥させずに、適度な潤いを保つ「湿潤療法」が、積極的に行われます。高機能な創傷被覆材(ドレッシング材)を用いて、傷を最適な環境に保つことで、皮膚の再生を促し、治癒期間を短縮します。また、傷口の「感染」は、炎症を長引かせ、傷跡を悪化させる、最大の敵です。抗生物質入りの軟膏などを用いて、感染を、徹底的にコントロールします。火傷が、上皮化(皮膚が再生)して、治癒した後も、ケアは終わりではありません。ここからの、数ヶ月から1年間にわたる、アフターケアが、最終的な傷跡の仕上がりを、大きく左右します。治癒直後の皮膚は、まだ非常にデリケートで、バリア機能も不完全です。まず、最も重要なのが「保湿」と「遮光」です。再生したての皮膚は、乾燥しやすく、また、紫外線に対して、非常に敏感になっています。保湿剤を、こまめに塗り、皮膚の潤いを保つと共に、外出時には、サンスクリーン剤や、衣類、帽子などで、傷跡を、紫外線から、徹底的に守りましょう。紫外線を浴びると、傷跡に、色素沈着(シミ)が、起こりやすくなります。次に、傷跡の「物理的な刺激」を避けることも大切です。傷跡にかかる、皮膚の伸び縮みの力(張力)は、傷跡が、幅広く伸びたり、赤く盛り上がったりする原因となります。これを防ぐために、傷跡の上に、専用の医療用テープ(マイクロポアテープなど)や、シリコンジェルシートを、数ヶ月間、貼り続ける「テーピング療法・圧迫療法」が、非常に有効です。これらの地道なケアを、根気強く続けることが、きれいな治癒への、最も確実な道筋です。傷跡のことで悩んだら、形成外科医などの、専門家に相談してください。
火傷の傷跡(瘢痕)を残さないための治療とケア