大人が、口内炎と発熱という、二つの症状に同時に見舞われた時、どの診療科を受診するのが、最も適切なのでしょうか。原因が、ウイルス感染症から、全身性の難病まで、多岐にわたるため、最初の診療科選びは、非常に重要です。受診すべき診療科は、口内炎の「場所」や「数」、そして、発熱以外の「伴う症状」によって、判断するのが良いでしょう。まず、口内炎が、喉の奥の方に集中しており、つばを飲み込むのがつらい「嚥下痛」が、主な症状である場合。この場合は、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」が、最も適しています。耳鼻咽喉科医は、ファイバースコープなどを用いて、喉の奥の状態を詳細に観察し、ヘルパンギーナや、扁桃炎といった、喉の病気を、正確に診断することができます。次に、口内炎が、歯茎や、唇の裏、頬の粘膜といった、口の中全体に、広範囲に広がっている場合。特に、歯茎の強い腫れや、出血を伴う場合は、歯と、その周りの組織の専門家である「歯科口腔外科」が、非常に頼りになります。ヘルペス性歯肉口内炎などの診断と治療を、専門的に行います。また、口内炎と共に、手足など、口以外の「皮膚」にも、発疹や水ぶくれが出ている場合は、手足口病や、ベーチェット病、あるいは薬疹などの可能性を考え、皮膚症状の専門家である「皮膚科」の受診が、鑑別診断の助けとなります。そして、特定の局所症状が突出しているわけではなく、「高熱や、全身の倦怠感、関節痛といった、全身症状が強い」場合。あるいは、どの科に行けばよいか、全く見当がつかない場合は、まず、かかりつけの「一般内科」を、最初の窓口とするのが、最も安心で、スムーズです。内科医は、総合的な視点から、全身の状態を評価し、必要な初期検査(血液検査など)を行い、診断への道筋をつけてくれます。そして、もし、より専門的な治療が必要だと判断されれば、責任を持って、リウマチ科や、耳鼻咽喉科といった、最適な専門科へと、紹介してくれます。