夏の体調不良、特に、食欲不振に陥った時に、食事以上に、生命維持の観点から、重要となるのが、適切な「水分補給」です。食欲がない時は、食事から摂取できる水分量も、大幅に減少するため、意識的に、飲み物から水分を摂る必要があります。しかし、ただやみくもに、水をがぶ飲みすれば良い、というわけではありません。何を、どのように飲むかが、非常に重要になります。まず、基本となる飲み物は、「水」または、カフェインを含まない「麦茶」です。これらは、胃腸に負担をかけず、体にスムーズに吸収されます。飲む際のポイントは、「喉が渇く前」に、「こまめに、少しずつ」飲むことです。一度に大量に飲むと、胃液が薄まって、消化能力を、さらに低下させてしまう可能性があります。コップ一杯(150~200ml)程度を、1~2時間おきに、飲む習慣をつけましょう。そして、もう一つ、非常に重要なのが、水分と共に、汗で失われた「ミネラル(電解質)」も、補給するという視点です。食事が十分に摂れていない時は、食べ物から摂取できるはずの、塩分(ナトリウム)や、カリウムも、不足しがちです。このような状態で、水だけを大量に飲むと、体内のミネラル濃度が、さらに薄まってしまい、「低ナトリウム血症」という、危険な状態(水中毒)を引き起こす可能性があります。だるさや、頭痛、吐き気といった症状は、この低ナトリウム血症のサインかもしれません。したがって、食事がほとんど摂れず、汗を多くかいている時には、水やお茶だけでなく、「経口補水液」や「スポーツドリンク」を、上手に活用することが、推奨されます。これらは、水分と、ナトリウム、カリウム、そして、水分の吸収を助ける糖分が、バランス良く配合されています。また、温かい「味噌汁」や「スープ」も、水分と塩分を、同時に補給できる、優れた飲み物です。特に、味噌汁の上澄みは、食欲が全くない時でも、比較的飲みやすく、栄養補給にもなります。梅干しを、白湯に溶かして飲む「梅湯」も、クエン酸による疲労回復効果と、塩分補給が期待できる、日本の伝統的な知恵です。
食欲がない時の水分補給、何をどう飲むべきか