地域医療機関・健康施設の紹介とレビュー

2025年9月
  • 大人が感染しないための徹底予防策

    生活

    子どもの間でヘルパンギーナが流行し始めた時、あるいは、我が子が感染してしまった時、大人が、あの地獄のような症状を経験しないためには、鉄壁の「予防策」を講じる必要があります。ヘルパンギーナには、ワクチンも特効薬もありません。したがって、感染経路を物理的に断つ、地道な対策こそが、自分自身を守るための、唯一にして最大の武器となるのです。まず、最も基本的で、最も重要なのが、「石鹸と流水による、徹底した手洗い」です。ウイルスは、感染者の便や体液に触れた手を介して、口に入ることで感染します。外出後、食事前、トイレの後、そして何よりも、感染した子どものケア(おむつ交換、鼻水やよだれの処理など)をした後は、指の間や爪先、手首まで、30秒以上かけて、丁寧に、そして執拗に洗いましょう。ここで注意が必要なのが、「アルコール消毒への過信は禁物」であるという点です。ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスは、アルコール消毒剤が効きにくい、「ノンエンベロープウイルス」に分類されます。アルコール消毒は、補助的な手段と考え、まずは、物理的にウイルスを洗い流す「手洗い」を、最優先してください。次に、感染リスクが最も高い「おむつ交換」には、最大限の警戒が必要です。可能であれば、「使い捨てのビニール手袋」を着用し、お尻を拭いた後のおしりふきや、使用済みのおむつは、ビニール袋に入れて、しっかりと口を縛ってから、蓋つきのゴミ箱に捨てましょう。そして、処理が終わった後は、手袋を外してから、再度、石鹸と流水で、完璧に手を洗ってください。また、「タオルの共用」は、家庭内感染の温床です。洗面所や浴室のタオル、そしてバスタオルは、個人別に分け、こまめに洗濯しましょう。感染者が使った食器やコップ、箸なども、共有は避けるのが賢明です。唾液を介した感染を防ぐため、キスや、食べ物の口移しなども、もちろん厳禁です。これらの対策を、症状がある急性期だけでなく、症状が治まった後も、少なくとも1ヶ月は継続する、という意識を持つことが、回復後も便から排出され続ける、しぶといウイルスから、身を守るための鍵となります。

  • まとめ。腹痛で迷ったらどう考えどう行動すべきか

    知識

    突然の腹痛に見舞われた時、多くの情報の中から、自分にとって最適な行動を選択するのは難しいものです。ここではこれまでの内容を総括し、「お腹が痛い」で悩んだ際に、どのように考え、どの診療科を目指すべきかの行動指針を整理します。まずStep 1として、最も重要なのが「痛みの強さと緊急性の判断」です。「これまでに経験したことのないような、我慢できないほどの激痛」「冷や汗や意識がもうろうとする症状を伴う」「突然の激痛が胸や背中にも広がる」。これらのサインは一刻を争う緊急疾患の可能性があります。ためらわずに直ちに救急車を呼んでください。次にStep 2として、「痛みの場所」を特定します。「みぞおち」の痛みなら胃や膵臓を考え消化器内科へ。「右上腹部」なら胆嚢を疑い消化器内科へ。「右下腹部」の痛みなら、虫垂炎を第一に考え「外科」へ。「下腹部」や「脇腹」の痛みなら、腸や泌尿器の病気を考えます。Step 3は、「腹痛以外の伴う症状」に注目することです。これが診療科選びの最大のヒントになります。「下痢や嘔吐、発熱」を伴うなら、感染性胃腸炎を疑い「内科・消化器内科」へ。「排尿時の痛みや血尿」があれば、尿路結石や膀胱炎を考え「泌尿器科」へ。女性で「不正出血やおりもの異常、月経との関連」があれば、「婦人科」の受診が不可欠です。Step 4として、これらのステップを踏んでも判断に迷う場合、あるいは症状がはっきりしない場合です。この場合は、まず幅広い内科系疾患の初期対応が可能である「内科」や「消化器内科」を最初の窓口として受診するのが最も合理的です。そこで詳しい問診と診察を受け、必要に応じて、外科や婦人科といった、より専門的な診療科へ紹介してもらうのがスムーズです。

  • まとめ。喉の奥の赤いぶつぶつ、放置は禁物

    医療

    喉の奥の、赤いぶつぶつ。それは、あなたの体が発している、見過ごしてはならない、重要な「サイン」です。その多くは、数日で治る、ウイルス性の風邪による、一過性のものですが、その背後には、時に、抗生物質による治療が必須な、細菌感染症や、あるいは、胃酸の逆流、さらには、稀ですが、悪性腫瘍といった、様々な原因が隠れている可能性があります。自己判断で、「ただの風邪だろう」と放置したり、市販薬だけで、ごまかし続けたりしていると、適切な治療の機会を逃し、症状が悪化したり、重篤な合併症を引き起こしたりする危険性も、ゼロではありません。ここで、喉の奥の、赤いぶつぶつに気づいた時の、行動指針を、改めて整理してみましょう。まず、Step 1として、自分の症状を、客観的に観察します。「高熱や、激しい痛みはあるか?」「ブツブツは、白い水ぶくれや、膿を伴っているか?」「舌や、体の皮膚にも、変化はないか?」「胸やけや、咳など、喉以外の症状はないか?」。これらのセルフチェックが、その後の、医療機関での説明に、非常に役立ちます。次に、Step 2として、その症状に応じて、適切な診療科を選びます。全身の風邪症状が強ければ「内科」へ。喉の局所症状が、突出していれば「耳鼻咽喉科」へ。胸やけなどを伴う、慢性的な症状であれば「消化器内科」を、検討します。そして、Step 3として、必ず、専門家である医師の診断を、仰いでください。特に、「つばも飲み込めないほどの激痛」「息苦しさを伴う」「症状が、2週間以上も続く」といった場合は、ためらわずに、医療機関を受診する必要があります。喉の奥の、小さな赤いぶつぶつは、あなたの健康状態を映し出す、鏡のようなものです。そのメッセージを、正しく受け止め、必要であれば、専門家の助けを借りる、その一歩を踏み出す勇気が、あなたの体を守るための、最も大切な行動と言えるでしょう。

  • 大人のヘルパンギーナ、何科を受診すべきか

    医療

    大人が、ヘルパンギーナを疑う症状、すなわち、突然の高熱、強烈な喉の痛み、そして全身の倦怠感に襲われた時、どの診療科を受診すればよいのでしょうか。症状が、喉と全身にまたがるため、迷ってしまうこともあるでしょう。受診すべき診療科は、どの症状が、自分にとって最もつらいかによって、判断するのが良いでしょう。まず、最も一般的で、最初の窓口として適しているのが、かかりつけの「内科」です。大人のヘルパンギーナは、インフルエンザと見紛うほどの、高熱や頭痛、関節痛といった、強い「全身症状」を伴うことが多いため、内科医による、全身的な視点からの診察と管理が、非常に重要となります。内科では、問診と診察に加え、必要に応じてインフルエンザや、溶連菌感染症といった、他の疾患を除外するための迅速検査も行うことができます。そして、高熱や痛みといった、つらい全身症状を和らげるための、解熱鎮痛薬などを処方してくれます。一方で、全身症状もさることながら、とにかく「喉の痛みがひどすぎる」「食事も水分も全く摂れない」といったように、喉の局所症状が、極めて強い場合は、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」を受診することも、非常に有効な選択肢です。耳鼻咽痕科では、ファイバースコープなどを用いて、喉の奥の状態を詳細に観察し、より正確な診断を下すことができます。また、最大のメリットは、ネブライザーという吸入器を使い、炎症を抑える薬剤や、局所麻酔薬を、痛みの強い患部に直接届ける治療が受けられる点です。これにより、一時的ではありますが、劇的に痛みを和らげ、水分補給のきっかけを作ることができる場合があります。どちらの科を受診しても、ヘルパンギーナそのものを治す特効薬はなく、治療が対症療法中心であることに変わりはありません。まずは、アクセスしやすい、かかりつけの内科に相談し、もし喉の痛みが耐え難いレベルであれば、耳鼻咽喉科の受診も検討する、という流れが、現実的かもしれません。

  • 傷跡をきれいに治すなら「形成外科」がベスト

    医療

    「この火傷、跡が残らないように、できるだけきれいに治したい」。特に、顔や手、腕といった、普段から人目に触れやすい場所に火傷を負ってしまった場合、誰もがそう強く願うはずです。このような、「機能的な回復」と同時に、「見た目の美しさ(整容面)」を、最大限に重視して、火傷の治療を行ってくれるのが、「形成外科」です。形成外科は、体の表面に生じた、生まれつきの、あるいは怪我や手術によって生じた、組織の異常や変形、欠損などを、機能的、かつ整容的に、より正常に、より美しく修復することを専門とする、外科系の一分野です。火傷の治療において、形成外科医は、皮膚の構造や、血流、そして、傷が治っていくプロセス(創傷治癒)を熟知しており、将来的に、いかにして傷跡を目立たなくするか、という視点を、常に持って治療にあたります。特に、水ぶくれができるII度の火傷や、皮膚の深い層まで及ぶIII度の火傷の治療において、その専門性が発揮されます。形成外科では、最新の創傷被覆材(ドレッシング材)を駆使し、傷を乾燥させず、適度な潤いを保つ「湿潤療法(モイストヒーリング)」を、積極的に行います。これにより、痛みを軽減し、感染を防ぎ、上皮化(皮膚が再生すること)を、最適な環境で促進します。また、火傷が非常に深く、皮膚の再生が期待できない場合には、「植皮術(皮膚移植)」という、専門的な手術が必要となります。これは、太ももやお尻など、目立たない部分から、健康な皮膚を薄く採取し、火傷した部分に移植する手術です。形成外科医は、移植した皮膚が生着し、機能的にも、整容的にも、満足のいく結果が得られるように、非常に繊細な技術で、この手術を行います。さらに、形成外科の真価は、火傷が治った後の、長期的なケアにもあります。不幸にも、傷跡がひきつれてしまったり(瘢痕拘縮)、赤く盛り上がってしまったり(肥厚性瘢痕・ケロイド)した場合でも、それらを修正するための手術(Z形成術など)や、レーザー治療、シリコンジェルシートによる圧迫療法など、多彩な治療オプションを持っています。火傷の傷跡で、将来、後悔しないためにも、特に、顔や関節部分の火傷の場合は、最初から形成外科を受診することが、最も賢明な選択と言えるでしょう。

  • 冷たいものの摂りすぎが招く消化不良

    生活

    厳しい暑さが続く夏、火照った体を冷やそうと、氷の入った冷たい飲み物を一気に飲み干したり、アイスクリームや、かき氷に、つい手が伸びたりするのは、ごく自然なことです。しかし、この、一時的な心地よさと引き換えに、私たちの胃腸は、深刻なダメージを受けている可能性があります。この「冷たい飲食物の過剰摂取」が、夏の食欲不振の、直接的な引き金となっていることも、少なくないのです。私たちの体、特に、内臓が、正常に機能するためには、37度前後の、適切な温度が保たれている必要があります。ここに、急激に、氷のように冷たい飲食物が、大量に流れ込んでくると、胃腸は、文字通り、内側から「急激に冷やされ」てしまいます。胃腸が冷えると、まず、胃壁や腸壁を通る、毛細血管が収縮し、血流が悪化します。血流が悪くなると、消化活動に必要な、酸素や栄養が、十分に行き渡らなくなり、胃腸全体の動き、すなわち、蠕動(ぜんどう)運動が、著しく鈍くなってしまうのです。さらに、もっと深刻なのが、消化酵素への影響です。食べ物を、体内に吸収できる、小さな分子にまで分解するために、不可欠な「消化酵素」は、一定の温度、すなわち、私たちの平熱に近い温度で、最も活発に働きます。体温が、局所的にでも低下すると、これらの消化酵素の働きも、極端に低下してしまいます。その結果、食べたものが、十分に消化されないまま、腸へと送られてしまいます。未消化の食物は、腸にとっては「異物」であり、腸壁を刺激して、下痢の原因となったり、腸内の悪玉菌のエサとなって、異常発酵を起こし、ガスを発生させたりします。このような、消化不良の状態が続けば、胃もたれや、腹部膨満感といった、不快な症状が常に付きまとい、脳は、それ以上、食べ物を受け入れることを拒否します。これが、冷たいものを摂りすぎた時に起こる、食欲不振のメカニズムです。夏でも、意識的に、温かいスープや、お茶などを食事に取り入れ、胃腸を、内側から温めてあげることが、健やかな消化機能を保つための、重要な鍵となります。

  • ヘルパンギーナは大人も子供にうつるのか

    知識

    ヘルパンギーナは、非常に感染力が強いウイルス性疾患です。家庭内に、一人でも発症者が出ると、高い確率で、他の家族にも感染が広がります。特に、子どもが保育園などからもらってきたウイルスが、看病する親にうつってしまう、という「家庭内感染」は、大人がヘルパンギーナにかかる、最も一般的なシナリオです。ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルス属のウイルスは、主に3つの経路で、人から人へと感染します。第一の経路が「飛沫感染」です。感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る、ウイルスを含んだしぶき(飛沫)を、周りの人が鼻や口から吸い込むことで感染します。病気の初期、特に発熱や喉の痛みがある時期に、このリスクは高まります。第二の経路が「接触感染」です。感染者が触れたドアノブや、おもちゃ、タオルなどにウイルスが付着し、それを別の人が手で触れ、その手で自分の目や鼻、口を触ることによって、ウイルスが体内へ侵入します。そして、第三の、そして最も厄介な経路が「糞口感染(ふんこうかんせん)」です。感染者の便(うんち)の中には、大量のウイルスが排出されます。症状がすっかり治った後でも、ウイルスは便の中から、数週間にわたって排出され続けるのです。子どものおむつ交換の際に、処理をする親の手にウイルスが付着し、その手から感染が成立するケースは、非常に多いです。もちろん、この逆のパターン、すなわち、大人が先に感染し、子どもにうつしてしまう可能性も、十分にあり得ます。症状が重く出やすい大人が、無理をして出勤したりすると、職場や、公共交通機関で、知らず知らずのうちに、感染を広げてしまう危険性もあります。ヘルパンギーナの感染力は、症状がある急性期が最も強いですが、回復後も、しばらくは感染源となる可能性がある、ということを、常に念頭に置いておく必要があります。家庭内、そして社会での感染拡大を防ぐためには、後述する、基本的な感染対策を、家族全員で、徹底して実践することが、何よりも重要となります。

  • 喉のぶつぶつで病院へ、何科を受診すべきか

    医療

    喉の奥に、赤いぶつぶつを見つけた時、それが、数日で消える、軽い風邪のようなものであれば、様子を見ることもできますが、痛みが強い、高熱を伴う、あるいは、長期間続いている、といった場合は、医療機関を受診すべきです。では、その際に、どの診療科を選ぶのが、最も適切なのでしょうか。受診すべき診療科は、主に、「内科」「耳鼻咽喉科」「消化器内科」の三つが、主な選択肢となります。それぞれの科の、役割と特徴を理解し、自分の症状に、最も合った科を選びましょう。まず、喉の痛みに加えて、「発熱」や、咳、鼻水、全身の倦怠感といった、いわゆる「風邪症状」が、主体である場合は、かかりつけの「内科」(子どもの場合は「小児科」)が、最初の窓口として、最も適しています。内科医は、全身を総合的に診察し、インフルエンザや、溶連菌感染症といった、全身性の感染症の診断と治療を、行うことができます。次に、喉の痛みや、違和感、あるいは、声がれといった、「喉の局所症状」が、他の症状に比べて、群を抜いて強い場合は、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」が、最も専門性の高い選択肢です。耳鼻咽喉科では、ファイバースコープなどの、専門的な器具を使い、喉の奥の状態を、詳細に観察することができます。これにより、扁桃炎の重症度や、声帯の異常、あるいは、稀な腫瘍などを、正確に診断することが可能です。また、ネブライザー(吸入治療)など、専門的な処置で、つらい症状を、効果的に和らげることもできます。そして、熱や、明らかな感染症状はないのに、喉の赤いぶつぶつが、慢性的に続いており、特に、「胸やけ」や、喉のイガイガ感、長引く咳などを伴う場合は、逆流性食道炎の可能性を考え、「消化器内科」や「胃腸科」への相談も、視野に入れる必要があります。もし、どの科に行けばよいか、判断に迷う場合は、まずは、最も身近な、かかりつけの内科医に相談し、そこから、必要に応じて、専門科へ紹介してもらう、という流れが、スムーズで、安心でしょう。

  • 排尿トラブルを伴う腹痛は泌尿器科へ

    医療

    腹痛と共に「排尿に関するトラブル」が見られる場合、その原因は腎臓や尿管、膀胱、尿道といった「泌尿器」にある可能性が高いです。このような症状で専門的な診療を受けられるのが「泌尿器科」です。泌尿器系の病気が原因の腹痛には、特徴的な随伴症状があります。まず最も頻度が高いのが「膀胱炎」です。女性に多く、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に侵入して炎症を起こす病気です。症状は、下腹部、特に恥骨の上のあたりに、シクシクとした痛みや重苦しい不快感が生じます。そしてそれに加えて「排尿時痛(おしっこの終わりにツーンと痛む)」「頻尿(トイレが近い)」「残尿感」「尿の濁り」といった、膀胱の刺激症状を伴うのが大きな特徴です。次に七転八倒するほどの激痛を引き起こすのが「尿路結石」です。これは腎臓で作られた石が尿管に詰まることで発症します。痛みは、片側の腰や背中から、脇腹、そして下腹部にかけて、突然、波のように押し寄せる、のたうち回るほどの激痛(疝痛発作)として現れます。痛みのあまり、吐き気や嘔吐、冷や汗を伴うことも少なくありません。また尿管の壁が石で傷つくため、尿に血が混じる「血尿」が見られるのも特徴です。さらに膀胱炎を放置したり尿管結石で尿の流れが滞ったりすると、細菌が腎臓にまで逆流して炎症を起こす「腎盂腎炎」を発症することがあります。腎盂腎炎では、下腹部痛だけでなく、感染が起きている側の背中や腰に強い痛みがあり、それに加えて、38.5度以上の高熱や悪寒、震えといった強い全身症状を伴います。放置すると敗血症という重篤な状態になる危険があるため、緊急の治療が必要です。

  • 子どもの火傷、小児科と専門科の連携

    医療

    活発で、好奇心旺盛な子どもは、残念ながら、火傷をしやすい存在です。テーブルの上の熱いお茶をこぼしたり、炊飯器の蒸気に手をかざしたり、アイロンに触れてしまったりと、家庭内には、危険がたくさん潜んでいます。子どもが火傷をしてしまった時、保護者としては、パニックにならず、冷静に対応することが求められます。では、子どもの火傷では、何科を受診するのがベストなのでしょうか。まず、最も身近で、頼りになるのが、かかりつけの「小児科」です。特に、火傷の範囲が狭く、赤くなっているだけ、といった軽症の場合は、小児科で十分な初期対応が可能です。小児科医は、子どもの全身状態を把握する専門家であり、火傷の処置と同時に、脱水がないか、他に異常はないかなどを、総合的に診てくれます。また、子どもの扱いに慣れているため、怖がる子どもを、上手に安心させながら、処置を進めてくれるという、大きなメリットもあります。しかし、火傷の範囲が広い場合や、水ぶくれができている、あるいは、皮膚が白っぽくなっているような、深い火傷の場合は、より専門的な治療が必要となります。このような場合は、小児科医から、適切な専門科へ、紹介してもらうのが、最もスムーズな流れです。子どもの火傷治療の専門科は、大人と同様に、「皮膚科」または「形成外科」です。どちらの科も専門的な治療が可能ですが、特に、顔や手、関節部分の火傷や、将来の傷跡が心配な場合は、「形成外科」、それも、小児の形成外科に精通した医師のいる施設が、最も理想的です。子どもの皮膚は、大人に比べて薄く、デリケートであり、また、成長と共に、傷跡がどのように変化していくかを、予測しながら治療を行う必要があります。形成外科医は、これらの子どもの特性を、十分に理解した上で、治療計画を立ててくれます。また、広範囲の火傷では、入院が必要となることもありますが、そのような場合は、小児科と形成外科が、緊密に連携して、全身管理と、局所の治療にあたります。子どもの火傷は、初期対応が、その後の経過を大きく左右します。まずは、かかりつけの小児科に相談し、そこから、最適な専門医へと、繋いでもらうのが、最も安全で、確実な道筋です。