火傷を負ってしまった際に、多くの人が最初に思い浮かべる、最も一般的な相談先が「皮膚科」です。皮膚科は、その名の通り、皮膚に起こるあらゆるトラブルの診断と治療を専門とする診療科であり、火傷の初期治療においても、中心的な役割を担っています。皮膚科を受診するメリットは、まず、そのアクセスのしやすさです。多くの街に皮膚科クリニックがあり、急な怪我でも、気軽に相談しやすい環境が整っています。皮膚科では、まず、火傷の「深さ」と「範囲」を、正確に診断することから治療が始まります。火傷は、その深さによって、I度(皮膚が赤くなるだけ)、II度(水ぶくれができる)、III度(皮膚が白くなり、神経も壊死する)に分類されますが、この重症度の判断が、その後の治療方針を決定する上で、極めて重要になります。医師は、皮膚の色や、水ぶくれの有無、痛みを感じるかどうかなどを、注意深く診察し、重症度を判定します。治療は、火傷の深さに応じて行われます。I度の軽い火傷であれば、炎症を抑えるためのステロイド外用薬などが処方されます。水ぶくれができるII度の火傷が、皮膚科での治療のメインとなります。ここで重要なのは、感染を防ぎ、傷を最適な環境で治すことです。皮膚科では、水ぶくれをどう処置するか(破るべきか、温存すべきか)を判断し、細菌感染を防ぐための抗生物質入りの軟膏や、傷の治りを促進し、痛みを和らげる効果のある、高機能な創傷被覆材(ドレッシング材)などを用いて、専門的な処置を行います。火傷の治療で、最も注意が必要なのが、「感染」です。水ぶくれが破れた後の皮膚は、バリア機能が失われ、細菌が侵入しやすい無防備な状態になっています。もし、傷口が化膿してしまうと、治りが遅れるだけでなく、傷跡がひどくなる原因にもなります。皮膚科医は、感染の兆候を的確に見抜き、必要であれば、抗生物質の内服薬を処方するなどして、感染をコントロールします。一般的な火傷であれば、皮膚科での治療で、十分にきれいに治すことが可能です。