まぶたの腫れや痛み、かゆみといった、ものもらいの症状が現れた時、多くの人が「これくらいの症状で、病院に行くのは大げさかな」「市販の薬で、しばらく様子を見よう」と、つい受診をためらってしまいがちです。しかし、その躊躇が、治るまでの期間を長引かせたり、症状を悪化させたりする原因となることも少なくありません。では、どのような状態になったら、眼科を受診すべきなのでしょうか。その判断のタイミングについて、いくつかの目安を紹介します。まず、最も理想的なのは、「症状が出たら、できるだけ早く」受診することです。特に、まぶたの赤みや腫れ、痛みが強い「麦粒腫」が疑われる場合は、早期に抗菌薬による治療を開始することで、炎症を速やかに抑え、重症化を防ぐことができます。しかし、仕事などで、すぐに病院へ行けない場合もあるでしょう。その場合でも、以下のサインが見られたら、自己判断で様子を見るのはやめて、必ず時間を作って眼科を受診してください。第一のサインは、「市販の目薬を二、三日使っても、症状が全く改善しない、あるいは悪化している」場合です。これは、市販薬の成分が、原因となっている細菌に効いていない、あるいは、そもそも細菌感染ではない、別の病気(霰粒腫など)である可能性を示唆します。第二のサインは、「腫れがひどく、目が開けにくい」あるいは「まぶたの中心に、膿を持った白い点が見える」場合です。これは、炎症がピークに達している状態であり、自然に膿が排出されるのを待つよりも、眼科で適切に切開してもらった方が、早く、そしてきれいに治ることが多いです。第三に、「痛みがなく、コリコリとしたしこりだけが、長期間(二週間以上)続く」場合も、受診のタイミングです。これは「霰粒腫」の可能性が高く、自然治癒が難しい場合もあるため、一度、専門医の診断を仰ぎ、今後の治療方針を相談するのが賢明です。そして、最も緊急性が高いのが、「まぶたの腫れだけでなく、白目の部分(結膜)が充血して、目やにがたくさん出る」あるいは「視力の低下や、目の痛みを感じる」場合です。これは、ものもらいだけでなく、角膜や結膜にも炎症が広がっている可能性があり、放置すると視力に影響を及ぼす危険性もあります。これらのサインを見逃さず、適切なタイミングで専門医の助けを求めること。それが、あなたの目の健康を守るための、最も重要な判断なのです。
ものもらいで眼科へ行くべきタイミング