活発で、好奇心旺盛な子どもは、残念ながら、火傷をしやすい存在です。テーブルの上の熱いお茶をこぼしたり、炊飯器の蒸気に手をかざしたり、アイロンに触れてしまったりと、家庭内には、危険がたくさん潜んでいます。子どもが火傷をしてしまった時、保護者としては、パニックにならず、冷静に対応することが求められます。では、子どもの火傷では、何科を受診するのがベストなのでしょうか。まず、最も身近で、頼りになるのが、かかりつけの「小児科」です。特に、火傷の範囲が狭く、赤くなっているだけ、といった軽症の場合は、小児科で十分な初期対応が可能です。小児科医は、子どもの全身状態を把握する専門家であり、火傷の処置と同時に、脱水がないか、他に異常はないかなどを、総合的に診てくれます。また、子どもの扱いに慣れているため、怖がる子どもを、上手に安心させながら、処置を進めてくれるという、大きなメリットもあります。しかし、火傷の範囲が広い場合や、水ぶくれができている、あるいは、皮膚が白っぽくなっているような、深い火傷の場合は、より専門的な治療が必要となります。このような場合は、小児科医から、適切な専門科へ、紹介してもらうのが、最もスムーズな流れです。子どもの火傷治療の専門科は、大人と同様に、「皮膚科」または「形成外科」です。どちらの科も専門的な治療が可能ですが、特に、顔や手、関節部分の火傷や、将来の傷跡が心配な場合は、「形成外科」、それも、小児の形成外科に精通した医師のいる施設が、最も理想的です。子どもの皮膚は、大人に比べて薄く、デリケートであり、また、成長と共に、傷跡がどのように変化していくかを、予測しながら治療を行う必要があります。形成外科医は、これらの子どもの特性を、十分に理解した上で、治療計画を立ててくれます。また、広範囲の火傷では、入院が必要となることもありますが、そのような場合は、小児科と形成外科が、緊密に連携して、全身管理と、局所の治療にあたります。子どもの火傷は、初期対応が、その後の経過を大きく左右します。まずは、かかりつけの小児科に相談し、そこから、最適な専門医へと、繋いでもらうのが、最も安全で、確実な道筋です。