大人のヘルパンギーナの闘病において、喉の激痛による「食事困難」は、最もつらく、そして危険な局面です。食べられないことは、体力の著しい低下と、脱水症状に直結するため、いかに喉を刺激せず、かつ最低限の栄養と水分を補給するかが、回復を早めるための、最重要課題となります。ここでは、地獄の喉の痛みを乗り切るための、食事と飲み物の選び方について、具体的に解説します。基本原則は、「喉を刺激しないこと」。キーワードは、「冷たい」「なめらか」「味が薄い」の三拍子です。まず、最もおすすめできる、闘病中の主食となりうるのが、市販の「栄養補助ゼリー飲料(ウィダーインゼリーなど)」です。これらは、喉ごしが良く、冷たく、そして、ビタミンやミネラル、カロリーを、効率よく補給できるように設計されています。次に、喉を冷やすことで、痛みを麻痺させてくれる効果も期待できるのが、「アイスクリーム」や「プリン」「ヨーグルト」です。特に、甘みが強く、栄養価の高いバニラアイスは、貴重なカロリー源となります。ヨーグルトは、酸味の少ない、プレーンタイプが良いでしょう。食事としては、「冷製のポタージュスープ」や、よく冷ました「茶わん蒸し」、「豆腐」などが適しています。飲み物は、麦茶や牛乳、あるいは、脱水対策として、電解質も補給できる「イオン飲料」や「経口補水液」が基本です。一方で、「絶対に避けるべき」食べ物・飲み物も、知っておかなければなりません。オレンジジュースやトマト、酢の物といった「酸味の強いもの」、醤油やソース、香辛料などの「味の濃いもの」、そして、煎餅やクッキー、揚げ物などの「硬くてパサパサしたもの」は、喉の潰瘍を直撃し、激痛を引き起こすため、厳禁です。もちろん、熱いスープやお茶といった、「熱いもの全般」も、炎症を悪化させるため、絶対に避けてください。何よりも優先すべきは「水分補給」です。たとえ固形物が全く食べられなくても、水分さえ摂れていれば、数日間は大きな問題にはなりません。脱水症状のサイン(尿が出ない、ぐったりしているなど)にだけは、常に気を配り、このつらい時期を乗り切りましょう。
喉が痛くて食べられない時の食事完全ガイド