食欲が落ちやすい夏だからこそ、栄養バランスの取れた食事を、少しでも美味しく、そして、無理なく摂るための「工夫」が、夏バテを防ぎ、元気に季節を乗り切るための、鍵となります。食欲がないからといって、そうめんや、冷や麦だけで済ませてしまうと、糖質に栄養が偏り、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足して、かえって、だるさや疲労感を、助長してしまいます。まず、食欲を刺激するための、味付けや、香りの工夫です。「酸味」は、唾液や胃酸の分泌を促し、消化を助ける働きがあります。梅干しや、レモン、お酢などを、料理に上手に取り入れましょう。冷奴に、梅肉を乗せたり、サラダに、レモンドレッシングをかけたりするだけで、さっぱりと、食べやすくなります。また、ショウガや、ミョウガ、シソ、ネギといった「香味野菜(薬味)」も、その爽やかな香りで、食欲を増進させてくれます。これらの薬味には、血行を促進したり、殺菌作用があったりといった、嬉しい効果も期待できます。次に、胃腸に負担をかけないための、調理法の工夫です。暑い夏には、揚げ物や、脂っこい炒め物は、胃もたれの原因となります。蒸したり、茹でたり、あるいは、電子レンジを活用したりする「ノンオイル調理」を、積極的に取り入れましょう。食材も、鶏のささみや、白身魚、豆腐といった、消化の良い、高タンパク・低脂肪なものを選ぶのが、ポイントです。そして、最も重要なのが、「栄養バランス」です。そうめんを食べるにしても、ただ麺つゆで食べるのではなく、錦糸卵や、蒸し鶏、ワカメ、刻んだオクラや、トマトなどをトッピングするだけで、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を、同時に補給することができます。夏野菜である、キュウリや、トマト、ナス、ピーマンなどは、水分と共に、カリウムやビタミンを豊富に含み、火照った体の熱を、内側から冷ましてくれる効果もあります。カレー粉などの、食欲をそそるスパイスを、少量使うのも、良い方法です。少しの工夫で、夏の食卓は、もっと豊かで、体に優しいものになるのです。