大人が、ヘルパンギーナを疑う症状、すなわち、突然の高熱、強烈な喉の痛み、そして全身の倦怠感に襲われた時、どの診療科を受診すればよいのでしょうか。症状が、喉と全身にまたがるため、迷ってしまうこともあるでしょう。受診すべき診療科は、どの症状が、自分にとって最もつらいかによって、判断するのが良いでしょう。まず、最も一般的で、最初の窓口として適しているのが、かかりつけの「内科」です。大人のヘルパンギーナは、インフルエンザと見紛うほどの、高熱や頭痛、関節痛といった、強い「全身症状」を伴うことが多いため、内科医による、全身的な視点からの診察と管理が、非常に重要となります。内科では、問診と診察に加え、必要に応じてインフルエンザや、溶連菌感染症といった、他の疾患を除外するための迅速検査も行うことができます。そして、高熱や痛みといった、つらい全身症状を和らげるための、解熱鎮痛薬などを処方してくれます。一方で、全身症状もさることながら、とにかく「喉の痛みがひどすぎる」「食事も水分も全く摂れない」といったように、喉の局所症状が、極めて強い場合は、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」を受診することも、非常に有効な選択肢です。耳鼻咽痕科では、ファイバースコープなどを用いて、喉の奥の状態を詳細に観察し、より正確な診断を下すことができます。また、最大のメリットは、ネブライザーという吸入器を使い、炎症を抑える薬剤や、局所麻酔薬を、痛みの強い患部に直接届ける治療が受けられる点です。これにより、一時的ではありますが、劇的に痛みを和らげ、水分補給のきっかけを作ることができる場合があります。どちらの科を受診しても、ヘルパンギーナそのものを治す特効薬はなく、治療が対症療法中心であることに変わりはありません。まずは、アクセスしやすい、かかりつけの内科に相談し、もし喉の痛みが耐え難いレベルであれば、耳鼻咽喉科の受診も検討する、という流れが、現実的かもしれません。