私の三十代は、頭痛との戦いの歴史でした。思えば、学生の頃から頭痛もちの気はありましたが、社会人になってからは、その頻度も痛みも格段にひどくなりました。平日はパソコンに向かうデスクワーク、休日は溜まった家事と育児。常に何かに追われ、頭の片隅にはズーンと重たい痛みの予感が居座っていました。私の相棒は、ドラッグストアで手に入る市販の鎮痛薬でした。痛みが来そうだと思ったら、予防的に飲む。痛みが始まったら、我慢せずに飲む。最初はそれで何とかなっていました。薬を飲めば、数時間後には痛みが和らぎ、また仕事や日常に戻ることができたのです。しかし、数年が経つ頃には、明らかに異変が起きていました。薬が効かなくなってきたのです。これまで一回二錠で治まっていたものが、全く効かない。時間を空けてもう二錠飲む。それでもダメ。気づけば、鎮痛薬を飲んでいない日の方が少ないという、異常な状態に陥っていました。頭痛がない日も、薬が切れることへの不安から、お守りのように薬を持ち歩き、頭が痛くなくても飲んでしまうことさえありました。そして、痛みのないはずの朝も、どんよりとした重たい頭痛で目覚めるようになったのです。仕事の能率は下がり、家族との会話も億劫になる。私の生活は、完全に頭痛に支配されていました。そんな私を見かねた夫が、「一度、ちゃんと病院で診てもらったら?」と強く勧めてくれたのが転機でした。正直、怖かったです。何か悪い病気が見つかったらどうしよう、という不安。でも、このままではいけないという気持ちが、ようやく私を動かしました。意を決して予約した頭痛外来で、医師から告げられた診断名は「薬物乱用頭痛」でした。市販薬の使いすぎが、かえって頭痛を慢性化させていたのです。治療は、まず原因となっている鎮痛薬をきっぱりとやめることから始まりました。最初の数週間は、離脱症状で地獄のような頭痛に苦しみましたが、医師や家族の支えで何とか乗り越えました。そして、私の頭痛の本体である片頭痛に対する予防薬の治療が始まると、世界は一変しました。あれほど頻繁に襲ってきた頭痛の嵐が、嘘のように月に一度か二度のさざ波に変わったのです。病院へ行くという、たった一つの行動が、私の人生を取り戻してくれました。もし、かつての私のように薬でごまかし続けている人がいるなら、伝えたいです。勇気を出して、専門家を頼ってください。
市販薬でごまかし続けた私が病院へ行った日