片頭痛や緊張型頭痛といった、命に別状のない慢性頭痛(一次性頭痛)を抱えている人は、非常に多くいらっしゃいます。「頭痛は体質だから」「薬を飲めば治まるから」と、長年上手に付き合っている、あるいは我慢し続けている方も少なくないでしょう。しかし、その「いつもの頭痛」であっても、医療機関を受診することで、生活の質(QOL)が劇的に改善するケースは珍しくありません。では、慢性的な頭痛もちの人が、病院へ行くべき目安はどこにあるのでしょうか。第一の目安は、「頭痛の頻度や程度に変化が見られた時」です。例えば、これまでは月に一、二回だった頭痛が、週に二、三回と明らかに頻度が増えてきた場合や、以前は軽かった痛みが、寝込んでしまうほど強くなってきた場合です。また、「痛みの性質が変わった」時も注意が必要です。いつもはズキンズキンと痛むのに、今回は締め付けられるような痛みだ、というように、痛みのパターンに変化があれば、一度専門医に相談して、頭痛のタイプが変化していないか、あるいは別の原因が隠れていないかを確認してもらうと安心です。第二の目安は、「市販の鎮痛薬の効果が薄れてきた、あるいは使用回数が増えてきた時」です。最初は一錠で効いていた薬が、だんだん効かなくなり、飲む量や回数が増えてしまう。特に、月に十日以上、鎮痛薬を服用している状態が続いている場合は要注意です。これは、薬の使いすぎそのものが新たな頭痛を引き起こす「薬物乱用頭痛」に陥っている可能性があります。この状態になると、自己判断で薬を減らすのは非常に難しく、専門医の指導のもとで適切な治療を行う必要があります。そして、最も重要な目安が、「頭痛によって日常生活に支障が出ている時」です。頭痛のために仕事を休んだり、楽しみにしていた予定をキャンセルしたり、家事や育児が手につかなくなったりする。もし、あなたの人生が頭痛に振り回されていると感じるなら、それは専門的な治療を始めるべき明確なサインです。我慢することは決して美徳ではありません。現在の頭痛治療は大きく進歩しており、あなたの苦しみを和らげるための様々な選択肢があります。その可能性を諦めず、一度、頭痛外来や神経内科の扉を叩いてみてください。