腎臓は、一度その機能が失われると、基本的には元に戻すことができない臓器です。そのため、腎臓病の治療は「治す」ことよりも、「いかに機能を維持し、悪化するスピードを緩やかにするか」が最大の目標となります。この目標を達成するために、何よりも重要になるのが「早期発見・早期介入」です。そして、その早期発見の鍵を握っているのが、日頃からあなたの健康を見守ってくれる「かかりつけ医」の存在です。なぜ、症状もないうちから、かかりつけ医に頼ることが腎臓を守ることにつながるのでしょうか。それは、腎臓病の多くが、高血圧や糖尿病といった生活習慣病と密接に関連しながら、静かに進行していくからです。かかりつけ医は、特定の病気だけでなく、あなたの健康状態を総合的かつ継続的に管理してくれます。例えば、高血圧で定期的に通院しているとしましょう。かかりつけ医は、血圧のコントロールを行うと同時に、定期的に血液検査や尿検査を行い、腎機能に変化がないかをチェックしてくれます。血圧の薬の選択においても、腎臓を保護する作用のある薬を積極的に選んでくれるでしょう。尿にわずかなたんぱく質が出始めたり、血液検査のeGFRが少しずつ低下し始めたりといった、ごく初期の変化を捉えることができるのは、このように継続的にあなたを診ている、かかりつけ医ならではの強みです。もし、腎機能の低下が明らかになり、より専門的な管理が必要だと判断されれば、かかりつけ医は最適なタイミングで、信頼できる腎臓内科の専門医へ紹介してくれます。その際、これまでの詳細な経過や検査データが記された紹介状を書いてくれるため、専門医での診療も非常にスムーズに始まります。つまり、かかりてつけ医は、地域医療における「健康の門番」であり、「専門医への水先案内人」でもあるのです。自分自身で「腎臓がおかしいかも」と症状に気づいてから専門医を探すのでは、すでに病気がかなり進行してしまっている可能性があります。そうなる前に、まずは信頼できるかかりつけ医を見つけ、生活習慣病の管理や定期的な健康チェックを任せること。それこそが、”沈黙の臓臓”である腎臓を守り、あなたの未来の健康を守るための、最も賢明で確実な方法なのです。