「かかとが痛い」という、一つの症状。その背後には、実は、足底腱膜炎やシーバー病といった、よく知られた病気以外にも、様々な原因が隠れている可能性があります。もし、あなたの痛みが、典型的な足底腱膜炎の症状とは少し違う、あるいは、なかなか改善しない場合は、一度、これらの少し珍しい、しかし見逃してはならない病気の可能性も、頭の片隅に入れておく必要があるかもしれません。まず、中高年の女性に比較的多く見られるのが、「アキレス腱付着部炎」です。これは、かかとの骨の後ろ側、つまり、アキレス腱がかかとの骨にくっついている部分に、炎症が起きてしまう状態です。痛みは、かかとの後ろ側、少し出っ張ったあたりに集中し、靴のかかと部分が当たると、痛みが強くなるのが特徴です。また、この部分に、骨の棘(とげ)ができてしまう「ハグルンド病(パンプス骨)」も、同様の痛みを引き起こします。これらは、ハイヒールなどの、かかとの硬い靴による、慢性的な圧迫が、原因の一つと考えられています。次に、足の裏全体のしびれや、焼けるような痛みを伴う場合は、「足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)」の可能性も考えられます。これは、足首の内側にある、神経や血管が通るトンネル(足根管)の中で、神経が圧迫されてしまう病気です。足の裏だけでなく、足の指にしびれが広がることがあります。また、スポーツ選手や、長距離を歩く人に稀に見られるのが、かかとの骨の「疲労骨折」です。繰り返しの衝撃によって、骨に微細なひびが入ってしまう状態で、安静にしていても、ジンジンとした痛みが続くのが特徴です。さらに、かかとの痛みは、必ずしも足そのものの問題だけが原因とは限りません。例えば、血液中の尿酸値が高くなる「痛風」の発作が、足の親指だけでなく、かかとに起こることもあります。また、「関節リウマチ」や「強直性脊椎炎」といった、全身性の自己免疫疾患の一症状として、アキレス腱付着部炎が起こり、かかとに痛みが生じることもあります。このように、かかとの痛みは、実に多様な病気のサインとなり得るのです。痛みが長引く場合は、自己判断せず、必ず専門医の診察を受け、その原因を正確に突き止めてもらうことが、何よりも大切です。
かかとが痛い時に考えられる病気