勇気を出して頭痛外来を受診したものの、いざ医師を前にすると緊張してしまい、「どんなふうに痛いですか?」と聞かれても、「ええと、ズキンズキンというか、ガンガンというか…」と、うまく症状を説明できなかったという経験はありませんか。頭痛の診断において、患者さんからの情報は、CTやMRIといった画像検査と同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。限られた診察時間の中で、自分の頭痛について的確に伝えるための最強のツールが「頭痛ダイアリー」です。頭痛ダイアリーとは、その名の通り、頭痛が起きた時の様子を記録する日記のことです。これを数週間から一ヶ月程度記録して持参するだけで、医師はあなたの頭痛のタイプを診断し、最適な治療法を選択するための、非常に多くの手がかりを得ることができます。では、具体的にどのような項目を記録すればよいのでしょうか。まず、基本となるのが「頭痛が起きた日時」です。いつ、何時ごろに痛みが始まったかを記録します。次に、「痛みの強さ」です。全く痛くないのをゼロ、我慢できないほどの痛みを十として、十段階で評価したり、「軽い・中くらい・ひどい」の三段階で記録したりすると分かりやすいでしょう。そして、「痛みの性質」です。「ズキンズキンと脈打つよう」「ギューッと締め付けられるよう」「キリキリと突き刺すよう」など、できるだけ具体的な言葉で表現します。また、「痛みの場所」も重要です。頭の片側か、両側か、後頭部か、目の奥か、などを記録します。さらに、「頭痛の持続時間」も大切な情報です。数時間で治まったのか、三日間続いたのかを記録します。市販薬を飲んだ場合は、「薬の名前と、飲んだ時間、そして薬が効いたかどうか」も忘れずに書き加えましょう。加えて、頭痛に伴って現れた「随伴症状」も記録します。吐き気や嘔吐はあったか、光や音、においに過敏になったか、めまいはあったか、などです。最後に、頭痛が起きる前に何か「きっかけ」がなかったかを振り返ってみましょう。寝不足や寝過ぎ、特定の食べ物(チョコレートやチーズなど)、天候の変化、ストレス、月経周期などが、頭痛の引き金になることがあります。これらの情報を記録したダイアリーは、あなたの頭痛の”カルテ”そのものです。これを持参することで、医師とのコミュニケーションは格段にスムーズになり、より質の高い医療を受けることにつながるのです。