腰や背中に痛みを感じた時、多くの人は「歳だから」「重いものを持ったから」と考え、まず整形外科の受診を思い浮かべるでしょう。確かに、腰痛のほとんどは、筋肉や背骨、椎間板といった運動器に原因があります。しかし、中には内臓、特に「腎臓」のトラブルが原因で、腰や背中に痛みが現れているケースがあり、これを見逃すと重大な事態につながりかねません。では、整形外科的な腰痛と、腎臓が原因の痛みは、どのように見分ければよいのでしょうか。まず、痛みの「場所」に注目してみましょう。一般的な腰痛は、ベルトのラインあたりの腰全体や、お尻に近い部分が痛むことが多いです。一方、腎臓が原因の痛みは、それよりも少し上の、背中寄りの、一番下の肋骨のすぐ下あたりに感じることが多いのが特徴です。左右どちらか片側だけが痛むケースがよく見られます。次に、痛みの「性質」や「状況」です。筋肉や骨が原因の腰痛は、体を動かしたり、特定の姿勢をとったりした時に痛みが強くなる、いわゆる「動作時痛」が主体です。安静にしていると楽になることも多いです。しかし、腎臓が原因の痛みは、体を動かしても、じっとしていても痛みが変わらないことが多く、時には夜も眠れないほどの鈍い痛みや、疼くような痛みが持続します。また、腎臓の病気では、背中の痛みに加えて、他の症状を伴うことが少なくありません。例えば、三百八度以上の「発熱」や悪寒、吐き気、そして尿の色が濁ったり、血が混じったりする「尿の異常」が見られる場合は、腎臓のトラブルを強く疑うべきサインです。このような症状を伴う背部痛で考えられる代表的な病気と診療科は、まず「腎盂腎炎」です。これは腎臓に細菌が感染した状態で、高熱と背中の痛みが特徴です。治療が遅れると重症化することがあり、「泌尿器科」や「内科」での迅速な抗生物質治療が必要です。また、突然、転げ回るほどの激痛が起こった場合は「尿路結石」の可能性があります。この場合は、一刻も早く「泌尿器科」を受診する必要があります。いつもと違う、何かおかしいと感じる腰や背中の痛みがあれば、「どうせ腰痛だろう」と自己判断せず、伴う症状にも注意を払い、内科や泌尿器科の受診も検討することが大切です。