熱が下がり、喉の激痛も和らいで、「ようやくアデノウイルスの悪夢から解放された」と喜んだのも束の間、私を次に襲ったのは、終わりの見えない咳と、泥のような深い倦怠感でした。発症から2週間が経過し、本来ならバリバリと仕事をこなしているはずの時期でしたが、私の体は自分の思うようには動きませんでした。少し階段を上るだけで息が切れ、会議中に一度咳が出始めると、喉が塞がるような感覚に陥り、涙が出るまで止まらなくなりました。これはアデノウイルスによって気道の粘膜が激しく損傷し、神経が剥き出しのような過敏な状態になった「感染後咳嗽」と呼ばれる状態でした。また、脳に霧がかかったようなボーッとした感覚、いわゆるブレインフォグのような症状もあり、仕事の書類を読んでも内容が全く頭に入ってこない日々が続きました。医師に相談すると、「大人のアデノウイルスは、ピークが過ぎた後のこの時期こそが最も忍耐を必要とする」と言われました。体内のウイルスはいなくなっても、破壊された組織が修復されるまでには、どうしても一定の物理的な時間が必要なのです。私は咳喘息のような状態になり、吸入ステロイド薬を使用することになりましたが、効果を実感できるまでにはさらに2週間の継続が必要でした。職場では、表面上は元気に見えるため、「まだ調子が悪いのか」という無言の視線を感じることもありましたが、無理をして出社を続けた結果、一度は微熱がぶり返し、さらに数日間の休養を余儀なくされました。アデノウイルス後の回復期は、決して直線的な右肩上がりではありません。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、3歩進んで2歩下がるような歩みで、少しずつ元の状態に近づいていくのです。この時期に最も助けになったのは、漢方薬と徹底した保湿でした。加湿器を24時間稼働させ、寝る時も濡れマスクを着用することで、ようやく咳の頻度が減っていきました。結局、自分が「本当に元に戻った」と実感できたのは、発症から丸1ヶ月が経過した日のことでした。アデノウイルスは、たった数日の感染で、私たちの体力を根こそぎ奪い去り、長期にわたるメンテナンスを強いるウイルスです。大人にとっての完治とは、熱が下がることではなく、以前と同じように呼吸ができ、以前と同じように考えられるようになることなのだと、痛烈に感じた体験でした。もし今、アデノウイルスの後遺症で不安になっている人がいたら、伝えたいことがあります。時間はかかりますが、体は必ず治ろうとしています。焦らず、自分の体の再生能力を信じて、今は歩調を緩める勇気を持ってください。
アデノウイルス感染後の長引く咳と倦怠感に悩まされた後遺症の記録