30代の半ば、仕事が忙しく体調管理も疎かになっていたある日、私は排尿時に経験したことのないような鋭い痛みを感じました。最初は「疲れが溜まって膀胱炎になったのかな」程度に考えていましたが、翌日には明らかな膿のような分泌物があり、激しい不安に襲われました。インターネットで症状を検索すると、クラミジアや淋菌といった性感染症の可能性が次々とヒットし、心臓の鼓動が早くなるのを感じました。誰にも相談できず、その日の午後に必死で職場近くの性病専門クリニックを探しました。クリニックの扉を開けるまでは、他人に見られるのではないか、不潔だと思われるのではないかという被害妄想に近い羞恥心でいっぱいでしたが、実際に中に入ってみると、そこは非常に清潔でホテルのロビーのような落ち着いた空間でした。受付のスタッフは事務的かつ丁寧で、番号札で呼ばれるシステムだったため、名前を知られる心配もありませんでした。問診室で医師と対面した際、私は緊張のあまり言葉が詰まってしまいましたが、医師は淡々と、しかし優しく「ここに来る方は皆同じ不安を抱えています。検査をして正体を突き止めることが解決の唯一の道ですよ」と言ってくれました。検査は尿を採取するだけという非常にシンプルなもので、5分もかからずに終了しました。私の場合は即日検査の結果、淋菌陽性と診断されました。その場で強力な抗菌薬の点滴を受け、1週間分の飲み薬を処方されました。医師からは、パートナーにも必ず検査を受けてもらうこと、そして治療が終わるまでは一切の性的な接触を控えることを厳しく、しかし論理的に説明されました。帰り道、病名が確定し、治療が始まったことで、それまでの得体の知れない恐怖がすっと消えていくのを感じました。1週間後の再検査で陰性が確認されたとき、私は本当の意味で日常を取り戻したのだと実感しました。この体験を通じて学んだのは、性病は特別な人だけがかかる「恥ずかしい病気」ではなく、適切な環境で適切に処置すべき、ありふれた、しかし放置してはいけない病気であるということです。病院に行くという決断を先延ばしにしていたら、症状はさらに悪化し、心身ともにさらに深く傷ついていたでしょう。今、もし何か違和感を感じながらスマートフォンの前で躊躇している人がいるなら、迷わず病院の予約を取ってください。その不快感と不安を終わらせる場所は、専門医の診察室の中にしかないのですから。